顎関節症とは?
顎を動かす時に働く咀嚼筋や顎関節に痛み(咀嚼筋痛・顎関節痛)がある、口が開きにくい(開口障害)、顎を動かす時に音がする(顎関節雑音)などの症状が主にみられる疾患です。
その他の症状には頭痛、首や肩の痛みとこり、耳の詰まった感じ、耳鳴り、耳の痛み、眼の疲れ、舌の痛み、味覚の異常 口の乾燥感などがあります。
治療法は?
症状によって以下の療法を組み合わせて、最適の治療を行います。
①生活習慣改善療法
顎関節症は日常生活における行動や癖が症状と関係している場合が多いので、ご自身で気をつける事で症状が改善することが多くあります。
具体的には以下の事項などがあります。
⑴上下の歯を接触させないよう気をつける。
⑵長時間同じ姿勢をとらない。
⑶両側の奥歯を使って食べる。
⑷かたい食品は食べない。
⑸うつ伏せで寝ない。
⑹頬杖をつく癖をやめる。
さらに強い心理的な緊張を感じる環境があれば、それを改善していくことも必要です。
特に⑴は重要で[歯を接触させる癖(TCH:Tooth Contacting Habit)]という生活習慣の中の癖を治すことでかなりの率で改善が見られます。
上下の歯の接触時間は会話や食事や睡眠時を含めて、一日に合計して平均17.5分だけです。右下記のパンフレットを使用して、この癖を治すことを指導させて頂いて、良好な結果を得ています。
②理学療法
⑴運動療法
1.関節可動化訓練療法
大きく開口することにより顎関節の血液循環が改善し、酸素や栄養を関節内部に届けることができるようになる結果、関節の動きが良くなり、開口量が増加します。
2.筋進展訓練療法(ストレッチ療法)
大きく開口して筋肉を伸展することにより筋紡錘も伸展され筋肉が痛みを感じにくくなり、筋肉や靭帯などの柔軟性や伸張性が改善します。
運動療法で重要なのは、痛みがあっても出来るだけ我慢して行うことです。ひざ関節症の「よく動くようになった関節は痛くなくなる。」と同じです。
⑵マッサージ療法
筋中の血液循環を改善し、疼痛物質を排除することにより痛みの緩和がおこります。
右下記のパンフレットを使用して理学療法を指導させて頂いて、良好な結果を得ています。
③マウスピース療法
筋活動を減少させ、筋の過緊張状態を緩和させたり、顎関節への負担を軽減する目的で使用します。
薄く丈夫なプラスチックのマウスピースで歯列を覆います。日中は使用せず、就寝中のみ装着します。歯ぎしりのある時も装着することにより、起床時の不快感も改善しやすく、咀嚼筋や顎関節の痛みも改善しやすくなります。
④薬物療法
顎関節や咀嚼筋の痛みに対して、消炎鎮痛薬を用います。
基本的には決まった時間に服用します。症状に応じて、薬の種類や服用方法を調整します。